それは、バレンタインの次の日のこと。
景麒は延麒にホワイトデーに渡すお菓子について訪ねるため、延国を訪れていた。
「どうしたんだ景麒、お前が俺に用があるなんてさ?」
「延麒、貴方に尋ねたいことが・・・」
心当たりのあった延麒は、景麒の様子で陽子が無事チョコを渡せたことに安心した。
「ああ、あの陽子のチョコな。お前のいう通り陽子に頼まれて俺が買ってきたんだ。美味かっただろ?」
「ええ、それはもう。
・・・それで」
景麒は本題に入ろうとしたその時、思わぬ言葉を耳にした。
「だよなー、なんせ陽子の愛が込められているんだからな」
「!?」
景麒は驚きよりも動揺が隠せなかった。
確かに、昨日の主上は様子がおかしかった。だが、確か主上はそんな事を一言も言ってはいなかった。
「・・・バレンタインというのは日頃の感謝を込め、お世話になった人にチョコレートをあげる日では?」
その言葉に延麒は事情を察した。
「なんだ陽子のやつ、ちゃんと言わなかったのか。まぁ、陽子らしいけどな」
そう言って笑った延麒は、バレンタインについて景麒に説明した。
大好きな人に、チョコレートを渡すということを。
その後、直ぐに景麒はこの世で最も速く駆ける足で金波宮へと駆けたとか。(笑)
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