「空から雫、地からは花」のアンジェ様より頂きました、天を支える者ssです。
このサイト様を見つけた時はもぅ嬉しかったですね。
天支のssを書いているサイトは初めて発見したので、その時の感動は凄かったんですよ!
ついつい、PCだけでなく携帯でも更新してるかを学校帰りとかに、ついチェックしちゃってます。
質問:恋人にするならどっち?
―Tipe Lovers―
ファティ・リンシャのにこにことした直球ストレートを受け、ナルレイシアはぽかん、と口を開けた。
「えっと……すみません、もう一度?」
「ナーシアは恋人にするならカールとスカー、どちらが魅力的かしら?」
あぁ…どうしよう。さっき言われた事と一言一句一緒だわ……。
ナルレイシアは軽く痛んだ頭を押さえた。
目の前のファティ・リンシャはやっぱりにこにことナルレイシアの返答を待っている。
これは、答えないと放してくれないだろう……このやっかいなご老人……失礼、貴婦人の性格が嫌と言う程分かってしまっているナルレイシアはコンマ1秒でやっかいな貴婦人の質問にきっぱり答えた。
「スカーさんです。」
「あら?どうして?」
「どうしてって…だってスカーさんの方が優しいし、ちゃんと人間扱いしてくれるし、紳士だし、趣味が合うし本好きだし同盟結んでるし……。」
「最後は関係ない気がするわよ、ナーシア。」
「そうですか?」
ファティ・リンシャは紅茶を飲みながらナルレイシアに爆弾を落とした。
「そう、ナーシアは優男が好みなのねぇ。」
危うく紅茶を吹き出しかけたナルレイシアはファティ・リンシャの言葉を否定するためにちゃんと飲み込んだ。
「いえ、ファティ・リンシャ、それはスカーさんとガスカールを比べたらの話でして別に優男が好きな訳じゃあ…」
「あら、そうなの?つまらない。」
つまらないってあなた……。
「まぁこの事はしっかりカールとスカーに報告しておきますから。」
「へ?」
ファティ・リンシャは立ち上がるととても貴婦人とは思えない足取りで(かなり軽やかに)ドアから出て行ってしまった。ナルレイシアがその言葉を理解するのに2分かかり、その間にファティ・リンシャは笑顔で当事者(?)の2人に告げてしまったのである。
―5分後―
「ちょっとちょっとファティ・リンシャ!?」
ばぁん、とある部屋の扉を開け放つと中にはガスカールが一人で突っ立っていた。
「あ…ガスカール……」
「…………なんだ、山猿」
……………何、この気まずい雰囲気……。
「えっと………聞いた?ファティ・リンシャから……?」
「何をだ?」
「いや、聞かなかったんなら良いんだけど……。」
じゃあ何故こんなに気まずい雰囲気なのか。
何となく後ろに下がるナルレイシアに、ガスカールはどんどん近付いて来る。
「な、なんでこっち来るのよ。」
「お前こそなんで逃げるんだ?」
「ガスカールがこっち来るからでしょっ!!」
そしてあっと言う間に壁にぶつかってしまった。
ガスカールはナルレイシアを自分と壁の間に閉じ込めた。
うわっ!!近い近い!!!美形の顔が近いっ!!
ナルレイシアの顔はほてり、心臓もドキドキ言い出した。
あれ?ていうか何かデジャヴ??前も誰かにこの体勢やられたような………。あぁ、あのバカ君にされたんだわ……。
でもあたし、なんでこっちはドキドキしてるんだろ?
「スカーが好みなんだって?」
その一言で、ナルレイシアの頭がいっぺんに覚めた。
「やっぱり聞いてるじゃないのよ~~~~~っ!!!」
ドカッと一発回し蹴り。それは見事にガスカールの脛へとクリーンヒット。
「~~~~~~~っ!!!」
声も出ないガスカールを置いてナルレイシアはひらりとガスカールから逃れ、扉から外に出た。
胸の動悸はいつの間にかおさまっていて、そしてそれも今のナルレイシアの頭には無かった。今のナルレイシアの頭を占めるのは一つだけ。
「うう……スカーさんに会うの、気が重い………。」
ガスカールが知ってるって事はスカーさんにも知らせてるって事よね?あーもう頭痛い~~~っ!!。
………彼女が新しく芽生えた気持ちに気がつくのはまだまだ先の事。
「あら?あらあらまぁそうなの!!」
ファティ・リンシャは紅茶を飲みながら風霊の報告を受けていた。
「まぁ、奥手なカールがそこまで頑張ったのね。さてさて、どっちとくっつくのかしらね~~~♪」
彼女は酷く楽しげにスコーンに上品に齧り付く。
ちなみに、ナルレイシアがファティ・リンシャを見つけられたのは、それから30分後の事である。
~FIN~
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